ブリーフセラピー（Brief Therapy）
「悩み事は、早く解決したい！」と思っている人は、きっと多いことでしょう。
そこで、今回は、当ルームでも実践している、“短期間で望ましい状態に導く”ブリーフセラピーという療法をご紹介したいと思います。
短期間で解決できるなら、カウンセリングへ行く回数も減り、時間とお金の節約にも繋がります。
どうしょうか、忙しい現代人にぴったりな療法と思いませんか？
長年、カウンセリングルームに通っていても、
カウンセラーは話をよく聴いてくれるが、何のアドバイスもしてくれない。
アドバイスはくれるけど、それが無理難題である。
毎回、過去のことを根掘り葉掘り尋ねられて、うんざりした。
などの経験をされた方にも、お勧めしたい療法です。
なお、ブリーフセラピーといっても、いくつかの理論モデルがあるのですが、ここでは、その中でも代表的な「解決志向ブリーフセラピー（Solution Focused Brief Therapy : SFBT）」を中心に解説していきます。
ブリーフセラピー（Brief Therapy）とは？
ブリーフセラピーは、
ブリーフ（Brief）＝「短期の」「簡潔な」、
セラピー（Therapy）＝「療法」「治療」
という言葉が含まれている通り、他の心理療法に比べて比較的短期間で行っていこうとする援助方法です。
ところで、短期とは、いったいどのくらいの期間なのでしょうか？
これは悩みの種類や周囲の環境、性格など個人差があって、一概には言えませんが、
回数では１０回以内、期間では半年以内といったところが目安になってくると思います。
もちろん、このブリーフセラピーは、カウンセリングの期間や回数の短さだけを主眼としているのではなく、十分な結果・効果が得られ（効果性）、そして時間・労力、心理的な負担が少なくて済む（効率性）をも重視した療法なのです。
問題よりも解決を、過去よりも現在・未来を
従来、多くの心理療法では、
“なぜ問題が起きているのか“”過去にどんなことがあったか“と原因を追求し、
それを分析して取り除こうとしたり、
あるいは過去の出来事を整理・内省して、変化させていこうとする方法をとってきました。
ところが、原因は一つとは限りません。
時間の経過とともに複雑化し、特定は大変に困難となるでしょう。
仮に、原因を特定できたとしても、必ず解決するとは言い切れません（逆に、原因がわからなくても、解決できる場合だってあり得ます。）。
そして、過去の出来事を掘り下げることは、問題をさらに深刻化させてしまう場合もあるでしょう。
ブリーフセラピーでは、問題や過去に囚われることなく、望ましい未来（解決像）に焦点を当てていくことが早期解決には有用であると考えます。
つまり、問題・原因がわからなくても、“自分はどうなりたいか”といった未来や解決された状態がわかれば、そこに向かって確実に進んでいけるのです。
リソース（資源）を活用
ブリーフセラピーの特徴として、
前述した「未来に焦点を当てる」ことのほか、
クライエントの持っているリソース（資源）を活用して、問題解決に取り組んでいくことが挙げられます。
リソース（資源）とは、
強み、スキル、経験、個性、興味・関心、特技、友人、家族などといった、
個人が問題解決や成長に役立てることができる様々なポジティブな要素・能力を指します。
これらは、誰でも持っていますが、
自分で気づいていなかったり、十分に活用できていないケースもあります。
そこで、カウンセラーが、クライエントのリソースを探し出して、それを活用する方法を一緒に考えていきます。
そうすることで、クライエントは自己肯定感を高め、短期間で、より良い未来を築くための変化を起こすことができるようになるのです。
当ルームでの支援方法
これまで説明してきたように、
ブリーフセラピーは、比較的短期間で解決や成果が得られ、
そうなりたい自分（未来像）といった肯定的な側面に焦点を当てて、
自身のリソースを活用していくので、
安全性もあり、誰にでも取り組みやすい療法といえます。
従って、当ルームでも、今まで多くの方にブリーフセラピーを実践してきました。
ただ、より深刻で複雑な心理的問題、
あるいは長年のトラウマなど、
他の心理療法の方が適している場合もあります。
また、クライエントによっては、
まだ変化に対する心の準備が出来ていなかったり、
気持ちの吐き出しをじっくりやった方がよいケースもあるので、
そのようなときは、
他の心理療法を優先したり、
ときにはブリーフセラピーと他の心理療法を併用したりして、
クライエントの心の状態をよく確認しながら支援しております。
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