「ひきこもり」のカウンセリング Q&A
Q:カウンセリングには、本人が行かなくてはいけませんか?
A:本人が希望しているのならよろしいのですが、無理矢理に連れてくるというのでは、全く逆効果です。
ひきこもり当事者の多くは、「早く抜け出さなきゃヤバくなる。」「このままだと手遅れになってしまう。」と危機感を持っています。でも、ひきこもり状況から脱出したくても、強烈な恐怖や不安が襲ってきて行動に移せずにいるのです。
だから、本人が自らカウンセリングを受けに来ることは、物凄いエネルギーが必要で、ハードルがかなり高いことでしょう。
そういった場合は、まず、親や兄弟姉妹その他の家族からカウンセリングを受けていただくのがよいと思います。
家族の一人がカウンセリングを受けて変わっていくことで、家族全体の関係性が徐々に変わっていきます。
その影響は、当然、本人にも及んでいきます。
Q:なぜ、ひきこもるようになったか、原因が全く分からないのですが…
A:ひきこもりの原因としては、親の言動、本人の性格、学校や勤務先での問題、あるいは、それが重なり合っている場合もあり、挙げれば切りがありません。
原因探しをしても、過去におきたその原因を無くすことはできませんし、
仮に、思い当たる原因を取り除けたとしても、傷ついた心はそう簡単には癒えません。
ですから、いま現在、本人が少しでも楽になれることを探して、そこから支援していったほうが解決の一番近道になります。
カウンセリングでは、ひきこもり状態の長期化で硬直してしまった家族関係を、どう変えていけば本人が楽になれるのか、理解のない家族をどう巻き込んでいくかなどを話し合っていくことが多いです。
Q:部屋の中では楽しんでいるみたいで、本人は抜け出す気持ちがあるのでしょうか?
A:ひきこもっている当事者の多くは、寝る時間、朝起きる時間、食事の時間が不規則な生活で、平然とインターネットやゲーム、読書などをして過ごしています。
周囲から見ると楽しんでいるように思えるでしょうが、心底楽しんでいるわけではありません。
ひきこもりが長期化するにつれて、その心の傷は深まっているのです。
ひきこもっていることに対する罪の意識や自責の念を感じさせないために、通常の社会活動サイクルとは違う昼夜逆転の生活をし、ゲームなどに没頭して現実から逃避しています。
つまり、部屋に居ても、そこは決して安心できる場所ではないのです。
従って、本人が、家の中に自分の安心できる居場所を獲得できるかどうかが、ひきこもりから抜け出すための最初の課題となってきます。
しばしば、本人と、両親または家族との関わり方が問題を長引かせてしまっている、なんていうことも珍しくありません。
過干渉、甘やかしすぎる母親。
説教、叱咤激励する父親。
腫れ物に触るような態度の祖父母。
蔑む兄弟姉妹。
本人が安心して居られる場所をつくるためには、家族が本人の気持ちを理解して、家族のメンバーとして遇していくことが大切です。
その積み重ねで、本人は、家族の中で、自己の存在価値を実感でき、安心して居られるのです。
家の中で自分の安心できる居場所があるからこそ、「もういっちょ、外に出てみようかな」「ダメなら、また家族が味方になってくれる場所に戻ればいいさ」というように、社会とのつながりへ志向していくわけです。
最後に
ひきこもりについての問題を解決するには、かなり時間を要することもありますが、それを契機として、家族関係が再構築され、相互の信頼関係を獲得し、家族全員が成長していく機会でもあるのです。
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